本問は,99I25~27の連問の一部です。
78歳の男性。急にぼんやりしたり,うとうとするようになり妻と一緒に来院した。
現 病 歴:これまで比較的元気で身のまわりのことは,ほとんど自分で行っていた。2日前から急にぼんやりしたり,うとうとすることが多くなった。日常の行動や着衣の状態がだらしなくなり,呼びかけには応じるが反応が鈍くなった。今朝,下着に黒色の便が付着しているのに妻が気付いた。2,3日前から胃の調子が悪いと言っていた。食欲はなく,2日前までは焼酎を毎日1合飲んでいた。排便の状態は不明である。数年前から外出時にころぶことがあった。
既 往 歴:40歳代からアルコール性肝障害を指摘されている。約5年前に十二指腸潰瘍に罹患した。
現 症:意識は傾眠傾向で,表情に乏しく動作は緩慢である。起立・歩行はできる。身長164cm,体重62kg。体温36.4℃。呼吸数14/分。脈拍84/分,整。血圧122/74mmHg。瞳孔は左右同大,対光反射は正常。前頭部に打撲痕がある。項部硬直はない。胸部に心雑音なく,ラ音を聴取しない。腹部は平坦で,腸雑音が減弱している。圧痛と抵抗とを認めない。肝を心窩部に2cm触知する。下肢に浮腫を認めない。両手指に振戦がある。上下肢の腱反射はやや減弱しているが病的反射はない。直腸指診で指先に黒色便の付着を認める。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球379万,Hb 9.8g/dL,Ht 31%,白血球4,200,血小板9万,プロトロンビン時間54%(基準80~120)。血清生化学所見:総タンパク6.0g/dL,アルブミン3.2g/dL,γ-グロブリン24.7%,尿素窒素35mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,総コレステロール166mg/dL,トリグリセリド80mg/dL,総ビリルビン2.3mg/dL,AST 74U/L,ALT 62U/L,γ-GTP 96U/L(基準8~50),Na 141mEq/L,K 4.5mEq/L。免疫学所見:HBs抗原陰性,HCV抗体陰性。
この患者についての判断で適切なのはどれか。2つ選べ。