問題番号 : 99I11

本問は,99I10~12の連問の一部です。

68歳の女性。前胸部痛と呼吸困難とを主訴に来院した。
現 病 歴:3週前から咳嗽と労作時息切れとが出現し,昨日から吸気時に増強する前胸部痛と安静時の呼吸困難とを自覚するようになった。
既 往 歴:2年前に肺癌の手術と化学療法とを受けた。
現  症:苦悶様顔貌。身長158cm,体重48kg。体温36.6℃。呼吸数24/分。脈拍116/分,整。血圧74/52mmHg。頸静脈の怒張を認める。胸部にラ音を聴取しない。腹部では肝を右肋骨弓下に3cm触知する。両下腿に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球320万,Hb 9.7g/dL,Ht 31%,白血球9,600,血小板18万。血清生化学所見:総タンパク6.2g/dL,アルブミン3.2g/dL,クレアチニン0.8mg/dL,AST 50U/L,ALT 35U/L,LDH 380U/L(基準176~353),CK 36U/L(基準10~40)。CRP 2.6mg/dL。心電図(A)と心エコー図(B)を示す。
診断はどれか。

正解
a
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。
V1,V6

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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