問題番号 : 98I8

38歳の女性。動悸と呼吸困難とを訴えて来院した。15年前からRaynaud症状と関節痛とがあった。11か月前から労作時の息切れを自覚し,近くの病院で非ステロイド性抗炎症薬とプロスタグランジン系血管拡張薬とを処方されていた。意識は清明。身長151cm,体重41kg。体温36.8℃。呼吸数24/分。脈拍76/分,整。血圧112/70mmHg。頸静脈の怒張を認めない。胸部にfine crackles〈捻髪音〉を聴取する。Ⅱ音の肺動脈成分の亢進を認める。四肢に浮腫はない。血液所見:赤血球430万,Hb 13.6g/dL,Ht 40%,白血球8,800(好中球81%,単球4%,リンパ球15%),血小板29万。免疫学所見:抗核抗体1,280倍(基準20以下),抗DNA抗体48U/mL陽性,抗RNP抗体16倍陽性,CH50 39U/mL(基準30~40)。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.42,PaO2 72Torr,PaCO2 34Torr。
この患者で考えられるのはどれか。2つ選べ

正解
a, b
国試正答率
90%

Assessment
30代女性の動悸と呼吸困難→肺疾患,心疾患,全身疾患の鑑

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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