問題番号 : 98D16

65歳の女性。歩行中バイクにはねられ右大腿の疼痛を主訴に救急車で搬入された。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長156cm,体重58kg。右下肢を動かすと右鼠径部に激痛を訴えるほかは異常所見はない。尿所見に異常はない。血液所見:赤沈10mm/1時間,赤血球450万,Hb 12.6g/dL,白血球8,000,血小板22万。血清生化学所見:総タンパク6.8g/dL,アルブミン4.6g/dL,尿素窒素16mg/dL,クレアチニン1.0mg/dL,AST 28U/L,ALT 22U/L,Na 140mEq/L,K 4.2mEq/L,Cl 102mEq/L。CRP 0.2mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.40,PaO2 88Torr,PaCO2 40Torr,BE-1.0mEq/L。
右大腿骨頸部内側骨折に対して人工骨頭挿入術を行った。創部痛が強かったため術後3日間ベッド上安静とし,4日目から歩行訓練を指示した。リハビリテーション室に行くため,車椅子に移乗させた時,急に呼吸困難を訴えうずくまった。胸部エックス線写真と心電図とに明らかな異常はなく,動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.38,PaO2 50Torr,PaCO2 47Torr,BE -4.0mEq/Lであった。
適切な検査はどれか。2つ選べ

正解
a, c
国試正答率
90%

Assessment
右大腿骨頸部内側骨折に対して人工骨頭挿入術後,車椅子移乗

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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