問題番号 : 98C28

本問は,98C28~30の連問の一部です。

68歳の男性。呼吸困難を訴えて来院した。
現 病 歴:4年前に慢性閉塞性肺疾患の診断を受け,定期的に診察を受けている。1週前に上気道炎に罹患し,その後呼吸困難が増悪した。
既 往 歴:特記すべきことはない。
生 活 歴:喫煙歴は40本/日を20歳から40年間。
現  症:意識は清明。身長168cm,体重58kg。呼吸数24/分。脈拍120/分,整。血圧130/90mmHg。両側頸静脈の怒張を認める。胸部の聴診でⅡ音の亢進を認め,両肺に軽度のwheezesを聴取する。腹部では肝を右肋骨弓下に6cm触知する。下肢に浮腫を認める。神経学的所見に異常はない。
検査所見:血液所見:赤血球460万,Hb 15.0g/dL,Ht 44%,白血球12,500,血小板42万。血清生化学所見:血糖170mg/dL,Na 138mEq/L,K 3.5mEq/L,Cl 110mEq/L。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.36,PaO2 54Torr,PaCO2 72Torr,BE+11mEq/L。
治療経過:経鼻酸素5L/分を開始し,静脈路を確保して利尿薬を投与した。30分後に意識レベルが低下してきた。
この患者の意識レベル低下の原因はどれか。

正解
d
国試正答率
90%

Assessment
COPDの既往があり,上気道炎罹患後に呼吸困難が増悪して

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る