問題番号 : 98C27

本問は,98C25~27の連問の一部です。

64歳の女性。労作時呼吸困難と下腿の浮腫とを主訴に来院した。
現 病 歴:20年前からタンパク尿を指摘され,その時の腎生検でIgA腎症と診断された。近医で治療を受けていたが,最近,階段昇降時や買い物に行ったときに息苦しさを感じるようになった。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現  症:意識は清明。身長162cm,体重48kg。脈拍92/分,整。血圧180/96mmHg。眼瞼結膜は蒼白。両側下肺にcoarse cracklesを認める。下腿に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:タンパク3+,糖(-),沈渣に赤血球10~20/1視野。血液所見:赤血球230万,Hb 7.8g/dL,Ht 22%,白血球7,500,血小板30万。血清生化学所見:総タンパク6.0g/dL,アルブミン3.8g/dL,尿素窒素80mg/dL,クレアチニン8.2mg/dL,尿酸7.6mg/dL,総コレステロール190mg/dL,Na 138mEq/L,K 6.5mEq/L,Cl 100mEq/L,Ca 7.9mg/dL,P 6.0mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.32,PaO2 98Torr,PaCO2 30Torr,HCO3 15mEq/L。
血液透析で直ちに改善できるのはどれか。2つ選べ

正解
b, e
国試正答率
90%

Assessment
IgA腎症で治療中に労作時呼吸困難,下腿浮腫,両側下肺に

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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