本問は,98C19~21の連問の一部です。
78歳の男性。意識障害と胸部異常陰影とのため,家族に付き添われて来院した。
現 病 歴:70歳ころから肺気腫があり,時々,咳と息切れとが増悪することがあった。2か月前に37℃ 台の発熱と咳とが出現し,様子をみていたが改善しなかった。1か月前,かかりつけ医に胸部エックス線写真で右肺尖部に浸潤影を指摘され,軽症の肺炎の診断で経口セフェム系薬を処方された。1週間服用したが軽快しないため市販の風邪薬を服用していた。2日前から息苦しさと頭痛とを訴えるようになり,元気がなくなってきた。今朝からうとうとする傾向があり,かかりつけ医の勧めで入院した。
既 往 歴:75歳時,心筋梗塞。77歳時,心不全。
生 活 歴:喫煙は20歳から70歳まで30本/日,以後,10本/日。飲酒は1合/日。
現 症:傾眠傾向であるが,名前を呼ぶと目を開け返事をする。身長160cm,体重54kg。体温37.5℃。呼吸数14/分。脈拍104/分,整。血圧134/76mmHg。皮膚は紅潮気味。心雑音はない。呼吸音は全体的に減弱し,右上肺にfine crackles(捻髪音)を聴取する。腹部では右肋骨弓下に軟らかい肝を2cm触知する。両下肢に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:比重1.021,pH 6.0,タンパク(-),糖(-),潜血(-)。血液所見:赤沈86mm/1時間,赤血球430万,Hb 13.8g/dL,Ht 39%,白血球8,300,血小板14万。血清生化学所見:血糖96mg/dL,総タンパク6.9g/dL,アルブミン3.7g/dL,尿素窒素38mg/dL,クレアチニン1.4mg/dL,総コレステロール266mg/dL,AST 51U/L,ALT 66U/L,LDH 394U/L(基準176~353),Na 140mEq/L,K 3.8mEq/L,Cl 96mEq/L。CRP 10.4mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.26,PaO2 58Torr,PaCO2 72Torr,HCO3- 31mEq/L。胸部エックス線写真で右上肺野に広範な浸潤影とその一部に空洞性病変を認める。喀痰塗抹Ziehl-Neelsen染色標本を別に示す。
補液に際して最も配慮するのはどれか。