問題番号 : 98C4

本問は,98C4~6の連問の一部です。

66歳の男性。全身倦怠感と腹部膨満とを訴えて来院した。
現 病 歴:1年前の健康診断で貧血を指摘されたが放置していた。3か月前から徐々に倦怠感が増強し,腹部膨満が出現し食事摂取量が減少した。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現  症:意識は清明。身長168cm,体重60kg。体温37.5℃。脈拍96/分,整。血圧114/70mmHg。眼瞼結膜は貧血様,眼球結膜に黄染を認めない。胸部で胸骨左縁第4肋間に2/6度の収縮期雑音を聴取するが,呼吸音に異常はない。腹部は心窩部から左季肋部が膨隆し,肝を右肋骨弓下に5cm,脾を左肋骨弓下に15cm触知する。両下腿に浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球210万,Hb 6.5g/dL,Ht 20%,網赤血球20‰,白血球3,200(前骨髄球1%,骨髄球3%,桿状核好中球6%,分葉核好中球58%,好酸球2%,好塩基球3%,単球5%,リンパ球22%,赤芽球3/100),血小板6.2万。プロトロンビン時間〈PT〉12秒(基準10~14),APTT 30秒(基準対照32.2),フィブリノゲン360mg/dL(基準200~400)。血清生化学所見:総タンパク6.0g/dL,アルブミン3.5g/dL,尿素窒素18mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,尿酸9.0mg/dL,総コレステロール110mg/dL,総ビリルビン1.0mg/dL,直接ビリルビン0.4mg/dL,AST 35U/L,ALT 52U/L,LDH 520U/L(基準176~353),ALP 320U/L(基準260以下),γ-GTP 70U/L(基準8~50),CK 40U/L(基準10~40),Na 135mEq/L,K 4.5mEq/L,Cl 105mEq/L,Ca 8.0mg/dL,Fe 150μg/dL(基準80~160)。骨髄穿刺は吸引不能。
この患者の病態について正しいのはどれか。2つ選べ

正解
c, d
国試正答率
90%

Assessment
貧血および肝・脾腫を認め,末梢血白血球分画では髄外造血を

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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