問題番号 : 98A17

68歳の女性。突然出現した呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。1週前からヨーロッパへ旅行し,今朝帰国した。旅行中は特に変わったことはなかったが,飛行機から降りて入国手続きをしている時,急に前胸部痛と呼吸困難とが出現し動けなくなった。意識は清明。身長152cm,体重68kg。体温38℃,呼吸数32/分。脈拍120/分,整。血圧100/50mmHg。心音では肺動脈Ⅱ音の亢進を認めるが,呼吸音に異常はない。腹部に異常所見なく,下肢に浮腫はない。神経学所見に異常を認めない。尿所見:タンパク(-),糖1+。血液所見:赤血球512万,Hb 16.6g/dL,Ht 50%,白血球7,000,血小板40万。胸部エックス線写真に異常を認めない。
この患者の治療に用いるのはどれか。

正解
b
国試正答率
90%

Assessment
ロングフライト後に突然の前胸部痛と呼吸困難を示しており,

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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