問題番号 : 97D38

58歳の男性。動悸と息切れとを主訴に近医から紹介されて入院した。43歳時の定期健康診断で尿糖を指摘され,その後も度々専門医を受診するよう勧められていたが,自覚症状がなく放置していた。1週前の忘年会後から浮腫が増強し,呼吸も苦しくなってきた。身長167cm,体重76kg。脈拍92/分,整。血圧176/112mmHg。尿所見:タンパク3+,糖3+,ケトン体(-),潜血(-)。Ht 21%。血清生化学所見:血糖350mg/dL,HbA1c 9.2%(基準4.6~6.2),アルブミン2.3g/dL,尿素窒素98mg/dL,クレアチニン6.5mg/dL,Na 136mEq/L,K 7.0mEq/L,Cl 106mEq/L。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.26,PaO2 80Torr,PaCO2 28Torr,HCO3 12mEq/L。胸部エックス線写真で両側に胸水の貯留を認める。
まず行うべき処置はどれか。

正解
a
国試正答率
90%

Assessment
15年前に糖尿病を指摘されている。尿タンパク陽性でアルブ

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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