問題番号 : 97C13

本問は,97C13~15の連問の一部です。

68歳の男性。腹部の膨満,腹痛,嘔吐および衰弱を主訴に家族に伴われて来院した。
現 病 歴:3日前から左下腹部を中心とする強い腹痛と嘔吐とを繰り返し,次第に腹部の膨隆が目立つようになってきた。この間,排ガスと排便とはみられず,排尿も2日前からは少量ずつ2,3回あったのみであった。また少量の水分を摂取したのみで経口摂取はほとんどしていなかった。
既 往 歴:5年前から170/90mmHg程度の高血圧症を指摘されていたが,症状がないため放置していた。手術歴はない。
現  症:意識は清明であるが受け答えは緩慢である。身長169cm,体重56kg。体温36.8℃。臥位で脈拍108/分,整。血圧114/78mmHg。腹部は膨隆し,左下腹部を中心として金属性腸雑音を聴取する。打診では腹部全体にわたって鼓音を呈する。肝・脾を触知せず,圧痛や抵抗を認めない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球360万,Hb 10.8g/dL,Ht 34%,白血球12,000,血小板25万。血清生化学所見:総タンパク6.0g/dL,尿素窒素38mg/dL,クレアチニン1.3mg/dL,AST 33U/L,ALT 32U/L,CK 35U/L(基準10~40),Na 128mEq/L,K 3.6mEq/L,Cl 83mEq/L。来院時の腹部エックス線単純写真(A)を示す。
この患者でみられるのはどれか。

正解
e
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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