問題番号 : 97A13

65歳の男性。腹部外傷のため,全身麻酔下に開腹脾摘術を受け,気管内挿管のままICUに収容された。生来健康で,喫煙歴は30歳から1日20本程度であった。術前の胸部エックス線写真と心電図とに異常はなかった。ICU入室時,人工呼吸下の血行動態は安定し,呼吸音に異常はなく,動脈血ガス分析(調節呼吸,FIO2 0.4)はpH 7.41,PaO2 135Torr,PaCO2 35Torr,BE -1mEq/Lであった。入室の翌朝,左肺の呼吸音が消失し,動脈血ガス分析(間欠的強制換気〈IMV〉,FIO2 0.4)はpH 7.35,PaO2 68Torr,PaCO2 42Torr,BE -3mEq/Lであった。血行動態に変化はみられない。このときの胸部エックス線写真を示す。
適切な対応はどれか。3つ選べ

正解
a, d, e
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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