問題番号 : 96F40

本問は,96F39~40の連問の一部です。

72歳の男性。歩行時に息苦しさが強くなってきたので来院した。
現 病 歴:半年前から坂道を登るときに息が苦しくなり,最近では平坦な道を歩くときも苦しくなってきた。長時間の歩行は困難で休みながらでないと歩けない状態である。咳や痰を自覚することは少ない。
嗜  好:喫煙は30本/日を50年間であったが,半年前から禁煙している。
現  症:身長172cm,体重54kg。呼吸数18/分。脈拍86/分,整。血圧136/80mmHg。頸静脈の怒張はない。胸郭はビア樽状を呈する。腹部は平坦で肝を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤沈36mm/1時間,赤血球485万,Hb 14.5g/dL。血清生化学所見:総タンパク6.8g/dL,アルブミン3.8g/dL,AST 18U/L,ALT 16U/L,LDH 360U/L(基準176~353)。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):PaO2 55Torr,PaCO2 43Torr。スパイロメトリ:VC 3,100mL,% VC 100%,FEV1.0% 39%。胸部エックス線写真で肺の過膨張,横隔膜の平低化および滴状心を認める。
適切な治療はどれか。

正解
c
国試正答率
90%

Assessment
重喫煙歴があり,労作時呼吸困難,FEV1.0<

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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