問題番号 : 96C29

本問は,96C28~30の連問の一部です。

38歳の女性。微熱と大腿部痛とを訴えて来院した。
現 病 歴:2か月前から全身倦怠感と微熱とが続いている。1か月前から階段の昇降が何となくおっくうになり,体動時には空咳と両側大腿部の鈍痛とを感じるようになった。関節痛や皮疹はない。
既 往 歴:特記すべきことはない。
現  症:意識は清明。身長162cm,体重52kg。体温37.8℃。脈拍84/分,整。血圧118/76mmHg。皮膚,頭頸部に異常を認めない。背部の聴診で,両側下肺野にfine crackles〈捻髪音〉を認めるが,心音に異常はなく,心雑音もない。腹部に異常を認めない。両側大腿部に筋萎縮と把握痛とを認める。四肢の近位筋力はやや低下しているが,感覚や深部腱反射は正常範囲である。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-),沈渣で赤血球1~2/1視野,白血球5~10/1視野。血液所見:赤沈38mm/1時間,赤血球410万,Hb 11.0g/dL,Ht 39%,白血球6,800,血小板26万。血清生化学所見:総タンパク6.0g/dL,アルブミン3.4g/dL,尿素窒素18mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,AST 80U/L,ALT 40U/L,LDH 420U/L(基準176~353),CK 180U/L(基準10~40),Na 142mEq/L,K 4.6mEq/L。免疫学所見:CRP 1.8mg/dL,抗核抗体40倍(基準20以下)。胸部エックス線写真で両側下肺野に網状陰影を認める。
この疾患でみられる針筋電図と運動神経伝導速度との所見で正しいのはどれか。

正解
d
国試正答率
90%

Assessment
38歳女性の微熱,大腿部痛,階段昇降困難,近位筋力低下+

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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