問題番号 : 96C26

本問は,96C25~27の連問の一部です。

51歳の男性。昨夜から呼吸困難がひどくなり来院した。
現 病 歴:32歳時の会社の健康診断でタンパク尿と血尿とを指摘されたが,症状がなく放置していた。42歳ころから高血圧を指摘され,時々降圧薬を服用していた。45歳ころから夜間尿を認めるようになった。5日前から全身倦怠感,食欲不振,悪心および頭痛が出現した。
現  症:意識は清明。身長171cm,体重79kg。体温37.1℃。脈拍98/分,整。血圧166/92mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。胸部で心尖拍動を鎖骨中線から4cm外側に触知し,両側下肺野にcoarse crackles〈水泡音〉を聴取する。肝を右肋骨弓下に1.5cm触知する。腹水を認める。下腿に著明な浮腫を認める。
検査所見:尿所見:タンパク3+,糖(-),潜血2+。血液所見:赤血球230万,Hb 6.9g/dL,Ht 21%,白血球7,000,血小板20万。血清生化学所見:総タンパク4.6g/dL,アルブミン2.1g/dL,尿素窒素125mg/dL,クレアチニン12.8mg/dL,Na 129mEq/L,K 6.6mEq/L,Cl 100mEq/L,Ca 7.3mg/dL,P 6.0mg/dL,HCO3 12mEq/L。
この患者でみられるのはどれか。

正解
a
国試正答率
90%

Assessment
19年前からタンパク尿と血尿,11年前から高血圧があり,

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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