問題番号 : 96C16

本問は,96C16~18の連問の一部です。

70歳の男性。言動の異常に気付いた家族に付き添われて来院した。
現 病 歴:2日前の午後,急に会話がチンプンカンプンとなり,落ちつきがなくなった。昨日は症状がやや改善したようにみえたが,今朝になっても奇妙な言動が続いている。
既 往 歴:10年前から脂質異常症の治療を受けている。また,不整脈を指摘されたことがある。
家 族 歴:母親と兄とに高血圧症がある。
現  症:身長160cm,体重67kg。体温36.0℃。呼吸数17/分。脈拍68/分,不整。血圧160/68mmHg。意識は清明で発話量は多いが,質問に対する答えはトンチンカンである。項部硬直はない。顔面,舌および四肢に麻痺を認めない。「口を開けて舌を出して下さい。」と命じても別の動作をする。頸部血管雑音は聴取しない。心雑音はなく,呼吸音は清である。腹部に特記すべき所見はない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球520万,Hb 15.7g/dL,Ht 47%,白血球7,700,血小板29万。血清生化学所見:空腹時血糖94mg/dL,総タンパク7.0g/dL,アルブミン3.8g/dL,尿素窒素16mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,総コレステロール210mg/dL,総ビリルビン0.7mg/dL,AST 37U/L,ALT 45U/L,Na 142mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 104mEq/L。CRP 0.2mg/dL。胸部エックス線写真では心胸郭比64%,肺野に異常はない。心電図で心房細動を認める。脳波では基礎律動は9Hzのα波で,左側頭部に徐波が出現する。頭部単純CTを示す。
最も考えられる症候はどれか。

正解
c
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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