本問は,96C4~6の連問の一部です。
54歳の男性。息切れと皮下の出血斑とを主訴に来院した。
現 病 歴:生来健康で2年前の会社での健康診断では異常はなかった。4か月前から階段で息切れを自覚するようになり,2か月前の出張旅行では疲労感が強く,同僚に顔色不良を指摘された。そのころから常時頭重感があり,1週前に下腿前面に赤紫色の小斑点が出現しているのに気付いた。体重減少や発熱はない。常用薬はない。
家族歴・服薬歴:特記すべきことはない。
現 症:身長172cm,体重63kg。体温36.8℃。脈拍70/分,整。血圧110/70mmHg。顔色は蒼白で,前胸部,下腿および足背に点状出血斑が多数散在する。表在リンパ節の腫大はない。眼瞼結膜は高度貧血様。舌と口腔咽頭とに異常所見を認めない。心尖拍動の左方偏位を認めるが呼吸音に異常はない。腹部は軟で圧痛はなく,腸雑音は正常である。下腿に浮腫はない。四肢の深部腱反射に異常を認めない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-),ウロビリノゲン(±),尿潜血(-)。便潜血反応陽性。血液所見:赤血球160万,Hb 5.6g/dL,Ht 17.0%,網赤血球4‰,白血球2,300(桿状核好中球10%,分葉核好中球15%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球68%),血小板0.9万。プロトロンビン時間〈PT〉100%(基準80~120),APTT 31秒(基準対照32.2),血漿フィブリノゲン254mg/dL(基準200~400),血清FDP 10μg/mL以下(基準10以下)。Ham試験陰性。血清生化学所見:総タンパク6.7g/dL,アルブミン4.3g/dL,ハプトグロビン52mg/dL(基準19~170),尿素窒素15mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,尿酸2.8mg/dL,総コレステロール102mg/dL,AST 16U/L,ALT 12U/L,LDH 350U/L(基準176~353),Na 141mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 108mEq/L。免疫学所見:CRP 0.2mg/dL,抗核抗体陰性,直接Coombs試験陰性。骨髄穿刺所見:有核細胞数は減少しているが,異型細胞を認めない。
この患者で予想される症候はどれか。2つ選べ。