問題番号 : 96A18

38歳の女性。歩行中乗用車にはねられ救急車で来院した。意識は清明であったが顔面蒼白で低血圧と頻脈とを呈した。脾破裂による腹腔内出血があり,直ちに全身麻酔下に緊急手術が開始された。術中大量輸液と輸血とにより血圧は90/68mmHgに回復したが,気管内に多量のピンク色泡沫状の分泌物を生じた。頸静脈怒張を認め,胸部にギャロップとcoarse crackles〈湿性ラ音〉とを聴取する。脈拍112/分,整。血液所見:赤血球450万,Hb 13.6g/dL,白血球5,800。動脈血ガス分析(人工呼吸,FiO2 0.6):pH 7.36,PaO2 92Torr,PaCO2 42Torr,BE -1mEq/L。中心静脈圧17cmH2O。
適切な治療薬はどれか。2つ選べ

正解
a, b
国試正答率
90%

Assessment
大量の輸液,輸血を行った後に,気管内のピンク色泡沫状分泌

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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