本問は,92C19~20の連問の一部です。
64歳の男性。息切れと下肢のむくみとを主訴として来院した。
現 病 歴:2年前,他院で白内障の手術を受けたときに収縮期血圧170~180mmHgと心拡大とを指摘されたが,仕事上の多忙を理由に治療を受けていなかった。1か月前から下肢のむくみに気付くようになった。
既 往 歴:気管支喘息のため,5年前から時々吸入薬を使用し症状は安定している。
生 活 歴:仕事第一主義の会社社長。睡眠時間は1日4~5時間で外国出張が多い。
嗜 好:たばこ30本/日を30年間,現在も喫煙中。機会飲酒。
現 症:身長168cm,体重72kg。体温35.8℃。呼吸数20/分。脈拍80/分,整。血圧180/110mmHg(右上肢)。意識は清明。両側頸動脈に血管雑音を聴取する。胸部では,両側下肺野に粗大水泡音を聴取する。腹部では肝腫大と臍部両側に聴取される血管雑音とを認める。大腿から足背にかけて著明な浮腫を認める。
検査所見:尿所見:タンパク2+,糖(-)。血液所見:赤血球385万,Hb 11.8g/dL,白血球5,700。血清生化学所見:総タンパク5.7g/dL,尿素窒素25mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,総コレステロール158mg/dL,総ビリルビン0.5mg/dL,AST 50U/L,ALT 58U/L,LDH 275U/L(基準176~353)。胸部エックス線写真(A)と心電図(B)とを示す。
この患者の心臓の診断で認められないのはどれか。