問題番号 : 92C17

本問は,92C16~18の連問の一部です。

46歳の男性。前胸部痛と失神発作とを訴えて来院した。
現 病 歴:1年前から時々圧迫感と冷汗とを伴う前胸部痛を自覚するようになった。発作の多くは真夜中から早朝にかけて出現し,5分程度で自然に消失した。胸痛と労作とに因果関係はなかった。起床後,妻と会話中,前胸部痛が出現したあと失神した。けいれんはなく5分ほどで意識は回復した。
既 往 歴:5年前に高血圧,脂質異常症および耐糖能異常を指摘されたが,特に治療は行わなかった。
嗜  好:日本酒3合/日。喫煙40本/日を26年間。
現  症:身長166cm,体重78kg。体温36.5℃。呼吸数20/分。脈拍72/分,整。血圧150/98mmHg。眼瞼結膜に貧血なく,眼球結膜に黄疸を認めない。心・肺に雑音を聴取しない。肝・脾を触知せず,浮腫を認めない。神経学的異常はない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球489万,Ht 45%,白血球8,900,血小板29万。血清生化学所見:AST 31U/L,ALT 34U/L,CK 35U/L(基準10~40),LDH 343U/L(基準176~353),Na 137mEq/L,K 3.6mEq/L,Cl 104mEq/L,空腹時血糖140mg/dL,HbA1c 7.6%(基準4.6~6.2),総コレステロール260mg/dL,トリグリセリド220mg/dL。
入院2日目の早朝に前胸部痛が出現した。そのときの心電図(A)と症状が消失した後の心電図(B)とを示す。入院5日目に施行した冠動脈内アセチルコリン負荷時の右冠動脈造影写真(負荷前:C,負荷後:D)を示す。
失神の原因として最も可能性が高いのはどれか。

正解
e
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

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