問題番号 : 90D44

58歳の男性。1日20本,35年間の喫煙歴。胆石症の診断で全身麻酔で開腹下に胆囊摘出術を受けた。術後,麻酔からの覚醒は遅延気味であったが,6時間後には意識清明となった。術翌朝38.5℃ の発熱があった。嘔気はない。胸痛および呼吸困難の訴えはない。呼吸数24/分,やや浅め。脈拍102/分,整。血圧120/78mmHg。膀胱留置カテーテルを介した尿量60mL/1時間。経鼻胃管からの胃内容排液150mL/6時間。眼瞼結膜に貧血はない。胸部聴診上,右下肺野で肺胞音の減弱を認める。肺肝境界は術前に比べ1肋間上昇している。腹部は平坦で,創部痛はあるが著明な圧痛はない。腸雑音は聴取しない。
考えられる病態はどれか。

正解
b
国試正答率
60%

Assessment
開腹術後に,右下肺野での肺胞音の減弱,肺肝境界の上昇が出

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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