本問は,89C18~20の連問の一部です。
56歳の女性。多関節痛と眼の乾燥感とを主訴として来院した。
現 病 歴:10年前から両手指の関節痛と腫脹とがみられた。起床時に手指がこわばり,午後になると楽に動かせるようになった。金製剤の筋肉注射と非ステロイド性抗炎症薬との治療を受けていた。3年前から眼の充血と異物感とが出現した。また,口が渇き,水と一緒でないとクッキーが食べられなくなった。2年前から両肘の皮下にしこりが出現した。最近,手指の関節の変形が強くなってきた。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現 症:身長153cm,体重46kg。体温36.4℃。脈拍88/分,整。血圧120/70mmHg。意識清明。眼瞼結膜やや貧血様。眼球結膜に充血を認める。口腔粘膜は乾燥し,泡沫状の唾液が付着している。治療を受けたう歯を多数認める。表在性リンパ節は触知しない。胸部の聴診では心音は正常で,両側下背部に捻髪音様ラ音を聴取する。腹部は平坦,軟であり,肝,脾を触知しない。両側手指に関節の腫脹と変形とを認める。神経学的には異常所見を認めない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。血液所見:赤血球366万,Hb 10.8g/dL,白血球8,500,血小板43万。血清生化学所見:総タンパク7.6g/dL。タンパク分画(Alb 44.7%,α1-5.3%,α2-12.3%,β-10.0%,γ-グロブリン27.6%),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,Na 142mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 108mEq/L。免疫学検査:赤沈110mm/1時間,CRP 6.8mg/dL(基準0.3以下),リウマトイド因子陽性,抗核抗体陽性(斑紋型)。手のエックス線単純写真(A)と耳下腺管造影写真(B)を示す。
手のエックス線単純写真でみられる所見はどれか。2つ選べ。