問題番号 : 89C15

本問は,89C13~15の連問の一部です。

50歳の男性。激しい胸痛を主訴として来院した。
現 病 歴:早朝に突然激しい胸痛と腰背部痛とをきたし,軽快しないため約5時間後に救急車で来院した。2~3分程度の意識消失発作が来院前に1回あった。
既 往 歴:5年前から170/100mmHg程度の高血圧を指摘されていたが,症状がないため放置していた。また,高コレステロール血症も指摘されていた。1日20本,30年間の喫煙歴がある。従来心雑音を指摘されたことはなく,胸部エックス線写真で異常を指摘されたこともない。
現  症:身長176cm,体重76kg。脈拍110/分,整。血圧,右上肢160/90mmHg。意識は清明であるが,顔面蒼白で苦悶状を呈する。皮膚は湿潤で手足に冷感がある。胸骨第3肋間に最強点を有するLevine 2/6度の拡張期雑音を聴取する。呼吸音は正常。上腹部は平坦で軟。肝,脾を触知しない。腹部に血管雑音を聴取しない。神経学的異常所見は認めない。
検査所見:血液所見:赤血球420万,Hb 13.8g/dL,Ht 38%,白血球10,000,血小板25万。血清生化学所見:クレアチニン1.0mg/dL,AST 60U/L,ALT 32U/L,CK 120U/L(基準10~40),Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 99mEq/L。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.44,PaO2 72Torr,PaCO2 32Torr。眼底に乳頭浮腫は認めない。来院時に記録した心電図(A)を示す。
その後に現像されてきた胸部エックス線像を(B)を示す。この患者に合併しやすいのはどれか。3つ選べ

正解
a, c, e
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

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