本問は,88C13~15の連問の一部です。
55歳の男性。四肢の筋力低下を訴えて来院した。
現 病 歴:約10年前から階段の昇降が下手になり,同じころから握力が弱くなってきた。5年前から顔のやせがみられ,頭髪の脱毛が目立つようになった。3年前からかぜをひくと治りにくくなった。
既往歴・生活歴:12歳のとき鼠径ヘルニアの手術を受けた。約20年前から1日2合の飲酒を続けている。
家 族 歴:父は脳出血により63歳で死亡。母は筋力低下があり61歳で死亡。
現 症:身長166cm,体重50kg。体温36.2℃。意識は清明,知能は正常。表在リンパ節は触れない。聴診で心肺に異常はない。腹部所見は正常。側頭筋と頸筋とに萎縮を認める。眼輪筋と口輪筋との筋力は低下している。鼻声で話す。舌をハンマーで叩打すると写真のような反応を認める。四肢の筋力と深部腱反射とはいずれも軽度に低下している。病的反射はない。表在感覚は正常。協調運動に異常はなく,不随意運動を認めない。
検査所見:血清生化学所見:総タンパク7.1g/dL,アルブミン4.3g/dL,AST 48U/L,ALT 32U/L,LDH 362U/L(基準176~353),γ-GTP 57U/L(基準8~50),CK 78U/L(基準10~40),IgG 720mg/dL(基準960~1,960),IgA 200mg/dL(基準110~410),IgM 240mg/dL(基準65~350)。
この患者の筋力低下の病変部位を診断するのに有用でない所見はどれか。