問題番号 : 88C10

本問は,88C9~10の連問の一部です。

30歳の男性。火傷後30分。救急車で搬送されてきた。
現 病 歴:プロパンガス爆発で自宅が火事となり,煙の充満した室内に倒れているところを救出された。
現  症:体格中等度で推定体重約60kg。意識障害があり,痛み刺激に対して払いのける動作をするが開眼はしない。呼吸数12/分,喘鳴を認める。脈拍124/分,整,微弱。顔面,前胸部および腹部の皮膚熱傷部は蒼白で硬く乾燥し,一部に表皮剝離がみられる。両上肢の皮膚は発赤し水疱を認める。他の部位には熱傷はないが皮膚は紅潮している。
入院時所見:30分尿量10mL。尿所見:赤ブドウ酒色,タンパク(±),糖(-)。赤血球580万,Ht 56%,白血球12,800,血小板9万。血清生化学所見:総タンパク5.1g/dL,アルブミン1.9g/dL,尿素窒素30mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,Na 132mEq/L,K 4.4mEq/L,Cl 98mEq/L。動脈血ガス分析(自発呼吸,30% 酸素吸入):pH 7.28,PaO2 98Torr,PaCO2 41Torr,HCO3 18mEq/L。
この患者の初期治療で適切なのはどれか。2つ選べ

正解
a, e
国試正答率
90%

Assessment
熱傷の症例である。顔面,前胸部,腹部の所見(蒼白,表皮剝

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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