問題番号 : 88C1

本問は,88C1~3の連問の一部です。

 生後60日の男の乳児。心雑音と哺乳不良とを主訴として来院した。
現 病 歴:生後30日,1か月児健康診査で心雑音を指摘されたが,そのままにしていた。その際,身長55cm,体重3,900gであった。その後,次第に母乳を飲むのに時間がかかるようになってきた。汗をかきやすく,哺乳途中で呼吸が苦しそうになることがあった。
出 生 歴:妊娠中特に異常はなく,在胎39週,頭位自然分娩で出生した。出生時の身長50cm,体重3,050gであった。Apgarスコアは8点(1分)。
家 族 歴:両親は健康で,同胞はいない。
現  症:身長57cm,体重4,300g。呼吸数55/分。脈拍170/分,整。大腿動脈の拍動はよく触れる。血圧84/46mmHg。皮膚は湿潤で,チアノーゼはない。胸部の聴診で,胸骨左縁第3肋間を最強点とする4/6度の逆流性収縮期雑音と心尖部に2/6度の拡張期ランブルとを認める。Ⅱ音肺動脈成分は亢進している。呼吸音は正常で,ラ音は認めない。肝は表面平滑でやや硬く,右肋骨弓下に3cm触知する。
検査所見:赤血球420万,Hb 13.2g/dL,白血球9,800。血清生化学所見:Na 139mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 98mEq/L。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.45,PaO2 80Torr,PaCO2 35Torr。胸部エックス線写真(A)と心電図(B)とを示す。
この患児について正常なのはどれか。2つ選べ

正解
b, d
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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