問題番号 : 87C9

本問は,87C9~11の連問の一部です。

46歳の女性。左手指のしびれを主訴として来院した。
現 病 歴:慢性糸球体腎炎による末期腎不全のため,12年前から週3回(1回5時間)の血液透析を受けている。長年にわたり,食塩,カリウム,リンの摂取の少ない食生活をするように気をつけている。高血圧に対してカルシウム拮抗薬を,カルシウムとリン代謝異常に対して活性型ビタミンD3,水酸化アルミニウムゲルおよび炭酸カルシウムを投与されている。家族4人で暮らしており,主婦として日常の家事に従事している。1年前から左手指のしびれが始まり,次第に増強してきた。
既 往 歴:20歳のときに虫垂切除術を受けた。
家 族 歴:父は再生不良性貧血のため68歳で死亡した。母は高血圧の治療を受けている。
現  症:身長153cm,体重46.2kg。脈拍80/分,整。血圧162/74mmHg。全身の皮膚は茶褐色調で乾燥している。四肢にそう痒によるひっかき傷が散在している。右前腕に内シャントによる静脈怒張がある。顔面はやや蒼白で眼瞼結膜に貧血を認める。胸部聴診で心尖部に2/6度の収縮期雑音とⅣ音とを聴取する。前胸部,背部で下肺野に湿性ラ音を聴取する。腹部は平坦,軟。肝,脾,腎や腫瘤を触知しない。脳神経所見に異常なし。深部腱反射は正常。左手の掌側で第Ⅰ~Ⅲ指と第Ⅳ指橈側半分とに境界鮮明な感覚障害を認める。左母指球筋の萎縮があるが,前腕筋群,小指球筋,骨間筋の萎縮はない。
検査所見:赤血球230万,Hb 7.2g/dL,Ht 22%,白血球5,600,血小板26万。血清生化学所見(透析前値):総タンパク6.9g/dL,尿素窒素78mg/dL,クレアチニン9.0mg/dL,尿酸10.6mg/dL,総コレステロール212mg/dL,AST 18U/L,ALT 24U/L,ALP 320U/L(基準260以下),Na 138mEq/L,K 5.6mEq/L,Cl 102mEq/L,Ca 9.7mg/dL,P 7.2mg/dL,フェリチン286ng/mL(基準3~17)。副甲状腺(上皮小体)ホルモン(インタクトPTH)120pg/mL(基準10~60)。左手関節のエックス線単純写真を示す。
この患者の貧血の治療で適切なのはどれか。

正解
d
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

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