問題番号 : 87C8

本問は,87C7~8の連問の一部です。

45歳の女性。起坐呼吸と喘鳴とを主訴として来院した。
現 病 歴:23歳から気管支喘息のため毎年,年に2~3か月内服および点滴注射による治療を受けている。3日前から,かぜを誘因として喘鳴が出現し,1日前から近医で副腎皮質ステロイド薬と気管支拡張薬との点滴注射を受けていたが軽快しなかった。息切れも強く,咳嗽と喀痰とが増強し,微熱もみられ,呼吸困難がさらに強くなったので酸素吸入をしながら救急車で搬送されてきた。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現  症:身長152cm,体重48kg。体温37℃。意識は清明であるが,顔面は蒼白で,苦悶状を呈し,頸静脈の怒張を認める。呼吸数30/分,努力性,起坐呼吸。脈拍100/分,整。血圧136/90mmHg。皮膚は湿潤で,チアノーゼなし。手指に振戦あり。胸部聴診では著明な笛様音を全肺野に聴取する。
検査所見(来院時):赤血球500万,Hb 15g/dL,白血球8,000(好中性桿状核球8%,好中性分葉核球54%,好酸球10%,単球3%,リンパ球25%)。血清生化学所見:AST 20U/L,ALT 21U/L,LDH 350U/L(基準176~353),Na 135mEq/L,K 4.5mEq/L,Cl 95mEq/L。動脈血ガス分析(24% 酸素吸入,自発呼吸):pH 7.45,PaO2 55Torr,PaCO2 35Torr,HCO3 24mEq/L。赤沈45mm/1時間,CRP 4+。
来院後,直ちにテオフィリン,副腎皮質ステロイド薬,抗菌薬を含む点滴注射を開始したが,6時間後の動脈血ガス分析(30% 酸素吸入,自発呼吸)は,pH 7.18,PaO2 80Torr,PaCO2 80Torrとなり,意識が低下してきた。
どのような治療をすべきか。

正解
a
国試正答率
90%

Assessment
気管支喘息の既往があり,かぜを誘因として増悪している。気

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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