問題番号 : 86C18

本問は,86C16~18の連問の一部です。

56歳の女性。嚥下困難と労作時息切れとを訴えて来院した。
現 病 歴:5年前から冬期外出時に手指が蒼白となった。手指が腫脹し,こわばるようになった。3年前から両側の手,肘および膝関節に運動痛があり,顔,上胸部および上腕に色素沈着が現れてきた。2年前から咳が出現した。3か月前から嚥下困難と労作時息切れとが出現したので来院した。
既 往 歴:特記すべきことはない。
現  症:身長156cm,体重50kg。体温36.2℃。脈拍58/分,整。血圧100/60mmHg。皮膚は顔面,前胸部,上背部および四肢のいずれも硬く,色素沈着および色素脱失が認められる。心雑音なし。両側胸部背下部でVelcroラ音を聴取する。腹部は平坦で,肝を触知しない。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:タンパク(-),糖(-)。赤血球422万,Hb 12.1g/dL,白血球6,700,血小板33万。血清生化学所見:総タンパク7.3g/dL,アルブミン3.3g/dL,尿素窒素11mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL。赤沈44mm/1時間。リウマトイド因子陽性,抗核抗体陽性(斑紋型)。手指の写真(A)と胸部エックス線写真(B)を示す。
この患者で予想される呼吸機能検査所見はどれか。

正解
d
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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