本問は,86C1~3の連問の一部です。
1歳2か月の男児。発達の遅れを主訴として来院した。
発達歴・現病歴:1か月で物を目で追い,3か月であやすと声をたてて笑うようになり,6か月で首がすわり,8か月で寝返りと人見知りとをするようになり,10か月でお坐りができるようになった。11か月のときに下痢で脱水状態になってから急にぐにゃぐにゃになり,腹臥位で頭をあげることができなくなった。1歳すぎからママ,パパなどの片言を言うようになった。
出 生 歴:妊娠中,特に異常はなく,母親は胎動を普通に感じていた。在胎40週に頭位正常分娩で出生した。出生体重2,970g。Apgar scoreは8点(1分),9点(5分)。新生児期は黄疸は軽度で,哺乳力もよかった。
家族歴・既往歴:父26歳,母24歳,同胞なく,特記すべきことはない。
現 症:身長74.5cm,体重8,050g,頭囲46.5cm,胸囲45.0cm。顔貌正常,皮膚,頭頸部,胸腹部に異常所見なし。眼球運動制限はなく眼底正常。舌に線維束攣縮を認める。上肢は肩まで上げ,手で物を持つことはできるが,下肢はほとんど動かすことができない。手を持って引き起こすと頭が後ろへ垂れてしまう。腋の下で体を支えて持ち上げるとすり抜けそうになり,下肢はだらりとしている。深部腱反射欠如,Babinski反射陰性,知覚は正常。
検査所見:赤血球469万,Hb 13.7g/dL,Ht 40.7%,白血球9,900。血清生化学所見:総タンパク6.7g/dL,アルブミン4.2g/dL,総コレステロール181mg/dL,尿素窒素8mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,尿酸4.2mg/dL,AST 31U/L,ALT 16U/L,LDH 245U/L(正常110~250),CK 45U/L(正常21~100)。
最も考えられる診断はどれか。