問題番号 : 85C2

本問は,85C1~3の連問の一部です。

 3歳4か月の男児。発達の遅れと心雑音との精査のために入院した。
現 病 歴:生後1か月に心雑音を指摘された。そのころから哺乳量が少なく,体重増加は不良であった。気道感染を繰り返し,生後8か月と1歳との2回,肺炎で入院した。チアノーゼには気づかなかった。
出 生 歴:妊娠中,特に異常はなく,在胎37週に頭位自然分娩で出生した。出生体重2,050g。Apgarスコア8点。黄疸は高度で光線療法を受け,生後4週まで認められた。
発 達 歴:首のすわり5か月,寝返り9か月,お坐り10か月,つかまり立ち14か月,つたい歩き16か月,ひとり歩き20か月。片言は18か月で始まり,まだ二語文を話せない。
家 族 歴:父43歳,母39歳。両親と2人の同胞に特記すべき疾患はない。
現  症:身長87cm,体重11kg。呼吸35/分。脈拍115/分,整。血圧108/60mmHg。チアノーゼを認めない。顔貌は,瞼裂が斜上しており,鼻根部が低く,内眼角贅皮を認める。指は短く,小指は橈側に弯曲,両手掌に猿線を認める。心臓聴診では,Ⅱ音の肺動脈成分は亢進しており,胸骨左縁から心尖部に3/6度の収縮期雑音と2/6度の拡張期雑音とを認める。呼吸音は正常でラ音はなく,肝を右肋骨弓下に3cm触れる。四肢の筋緊張は低下しているが,深部腱反射は正常である。
検査所見:胸部エックス線写真(A)と心電図(B)とを示す。
この患児の心カテーテルと心血管造影検査所見とについて予想されるのはどれか。3つ選べ

正解
b, d, e
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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