問題番号 : 84D34
56歳の男性。2年前に大腸癌の手術を受け,術後半年間,抗腫瘍化学療法を続けた。3か月前から咳が出現し,1か月前から呼吸困難も出現したので,来院した。体温37℃。呼吸数25/分。口唇チアノーゼを認める。胸部聴診で両側胸部背下部で捻髪音を聴取する。動脈血ガス分析:PaO2 46Torr,PaCO2 31Torr。胸部エックス線写真(A)と肺生検光顕H-E染色標本(B)とを別に示す。最も考えられるのはどれか。
画像診断:上画像参照。Assessment:
無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。