問題番号 : 83C15

本問は,83C15~17の連問の一部です。

64歳の男性。左上腕部痛,咳および歩行困難を訴えて来院した。
現 病 歴:5~6年前から咳と痰とが増加したが,喫煙を中止すると症状は軽快した。3週前から左上腕部痛が出現し,徐々に増強した。同時に下肢の筋力が低下し,歩行が困難となった。
既 往 歴:25歳のとき胸膜炎。
生 活 歴:タバコ1日40本(30年間)。
家 族 歴:父は結核のため70歳で死亡。
現  症:体温36.8℃,脈拍90/分,血圧120/70mmHg。右上肺野の呼吸音やや減弱。腋窩,鎖骨上窩および頸部リンパ節を触知しない。左上腕は腫脹し,体動により疼痛を訴え,異常可動性がある。下肢の腱反射は低下している。
検査所見:赤血球380万,白血球8,200,Hb 10.2g/dL,Ht 35%,血小板27万,血液像正常。血清生化学所見:LDH 450U/L(基準176~353),CK 120U/L(基準40~200),尿素窒素18mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL。CEA 22ng/mL(基準2.5以下)。誘発筋電図では高頻度刺激で著しい漸増型を示した。胸部エックス線写真(A)と全身骨シンチグラム(B)とを示す。
下肢脱力の原因として最も可能性が高いのはどれか。

正解
e
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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