問題番号 : 83C10

本問は,83C9~11の連問の一部です。

42歳の男性。全身のそう痒感と腰痛とを訴えて来院した。
現 病 歴:15歳のとき発熱と咽頭痛とがあり,2週後に乏尿と浮腫とが出現した。タンパク尿,顕微鏡的血尿および高血圧を指摘され,某院に入院した。1週後に利尿が始まり,浮腫は消失したが,それ以後,しばしば軽度のタンパク尿と血尿とを指摘されていた。10年前,全身倦怠と夜間多尿とを訴えて来院した。血圧180/98mmHg,血清クレアチニン3.6mg/dLで,それ以後は食事療法と降圧利尿薬の内服とを行った。5年前,血清クレアチニンが12.0mg/dLまで上昇し,アシドーシスも加わったので,血液透析を開始した。その後,近所の透析施設に移り,週3回(1回5時間)の血液透析を受け,会社に勤務している。1年前から全身のそう痒感と腰痛とを訴え,次第に増強してきたので再び来院した。
既 往 歴:幼児期から,しばしば扁桃炎に罹患し,16歳のときに扁桃摘出術を受けている。
家 族 歴:近親者に腎疾患はない。
現  症(括弧内は透析直後):身長165cm,体重63(60)kg。脈拍72/分,整。血圧178/104(146/90)mmHg。顔面はやや蒼白で浮腫状,眼瞼結膜はやや貧血状。心濁音界は正常で,心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。肺野は正常,腹部に異常所見なし。下腿に軽度の浮腫を認める。全身の皮膚に,爪で搔いたことによる擦過傷,出血,痂皮,色素沈着を認める。
検査所見(括弧内は透析直後):赤血球305万,Hb 10.5g/dL,Ht 23%,白血球6,300,血小板26万。尿所見:尿量0~50mL/日,タンパク(+),沈渣に赤血球3~5/1視野,白血球5~10/1視野を認める。血清生化学所見:総タンパク6.8(6.9)g/dL,クレアチニン8.5(4.0)mg/dL,尿素窒素80(32)mg/dL,Na 142(140)mEq/L,K 5.4(3.5)mEq/L,Cl 108(104)mEq/L,Ca 9.2(10.3)mg/dL,P 5.5(3.1)mg/dL。
眼底写真(A,B,C,D,E)を別に示す。
この症例の写真と考えられるのはどれか。

正解
e
国試正答率
60%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る