問題番号 : 119F69

本問は,119F69~71の連問の一部です。

60歳の男性。激しい胸痛と息苦しさを主訴に救急車で搬入された。
現病歴:7日前から10分程度の平地歩行で前胸部の絞扼感と息苦しさとを自覚していたが,5分程度の休息で症状は消失していた。本日午後10時に勃起不全の治療薬としてPDE5〈phosphodiesterase5〉阻害薬を服用した。午後10時30分から突然の強い胸痛を自覚し,30分以上持続したため妻が救急車を要請した。
既往歴:10年前から糖尿病で経口糖尿病薬,1年前から勃起不全に対してPDE5〈phosphodiesterase5〉阻害薬を服用中である。
生活歴:喫煙は10本/日を40年間。飲酒は機会飲酒。妻と2人暮らし。
家族歴:母が糖尿病。
現 症:胸痛で苦悶様の顔貌をしているが呼びかけには応じる。身長169cm,体重72kg。体温36.3℃。心拍数56/分,整。血圧80/46mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。冷汗を認め,四肢末梢に冷感を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。12誘導心電図でⅡ,Ⅲ,aVFのST上昇を認める。右側胸部誘導でもST上昇を認める。心エコー検査では下壁の壁運動低下に加えて右室の壁運動低下も認める。
次に行うべき処置で誤っているのはどれか。

正解
d
国試正答率
41%

Assessment
①60歳の男性 ⇒ 中年の男性
②主訴は激しい胸痛と息苦

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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