本問は,119F66~68の連問の一部です。
73歳の女性。記銘力低下を主訴に長女に連れられて来院した。
現病歴:2か月前から急に物忘れがひどくなり,家族に心配され来院した。①バスに乗って買い物に行っても,②レジでの支払いができなくなり,生活用品は長女が買って届けている。食事は宅配のお弁当を利用しており,③ひとりで食べられる。しかし偏食のため食べ残しが多い。④着替えは自分でできる。最近は家で過ごす時間が長くなり,友人から誘われても⑤趣味のゲートボールに行かなくなった。
既往歴:18歳時に虫垂炎で手術歴あり。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。車で30分の距離に長女夫婦が住んでいる。アレルギー歴はない。
家族歴:父は心筋梗塞で死亡。母は肺炎で死亡。夫は梅毒罹患歴があり,3年前,75歳時に膵癌で死亡。
現 症:意識は清明。意思疎通は可能で,礼節は保たれている。身長157cm,体重52kg。体温36.2℃。脈拍84/分,整。血圧128/76mmHg。呼吸数12/分。皮膚と粘膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は右下腹部に手術痕を認める。歩行はゆっくりだが,前傾姿勢は認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球438万,Hb 13.2g/dL,Ht 40%,白血球6,800,血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL,アルブミン3.5g/dL,AST 26U/L,ALT 18U/L,LD 162U/L(基準124~222),γ-GT 16U/L(基準9~32),アンモニア22μg/dL(基準18~48),尿素窒素16mg/dL,クレアチニン0.7mg/dL,血糖96mg/dL,Na 142mEq/L,K 4.2mEq/L,Cl 98mEq/L,Ca 8.6mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
血中梅毒トレポネーマ抗体〈TPHA〉と非トレポネーマ脂質抗体〈RPR〉はいずれも陽性,ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉抗原抗体は陰性であった。頭部単純CTで明らかな異常を認めない。
記銘力低下の原因を鑑別するために追加すべき血液検査項目はどれか。2つ選べ。