本問は,119F60~62の連問の一部です。
76歳の男性。強いふらつきを主訴に救急車で搬入された。
現病歴:3か月前から倦怠感やふらつきが目立ち,寒がるようになった。動作緩慢,便秘および経口摂取減少も出現したが加齢によるものと本人が思い様子をみていた。本日,倦怠感とふらつきが増強したため妻が救急車を要請した。
既往歴:1年4か月前に中咽頭癌に対し化学放射線療法が施行され,6か月ごとに定期通院中。
生活歴:70歳まで会社役員。妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は日本酒1~2合/日を40年間。
家族歴:弟が慢性肝炎。
現 症:意識は清明。身長165cm,体重60kg。体温35.8℃。心拍数48/分,整。血圧98/68 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。皮膚は乾燥しているが,色素沈着は認めない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥しているが,咽頭発赤は認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-)。血液所見:赤血球362万,Hb 11.7g/dL,Ht 35%,白血球4,100,血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL,総ビリルビン0.5mg/dL,AST 34U/L,ALT 32U/L,LD 220U/L(基準124~222),尿素窒素15mg/dL,クレアチニン1.1mg/dL,血糖92mg/dL,総コレステロール288mg/dL,Na 138mEq/L,K 2.8mEq/L,Cl 101mEq/L,TSH 98μU/mL(基準0.2~4.0),FT3 1.8pg/mL(基準2.3~4.3),FT4 0.1ng/dL(基準0.8~2.2),コルチゾール12.4μg/dL(基準5.2~12.6)。CRP 0.1mg/dL。心電図は洞性徐脈でST-T変化を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比48%。
この患者で予測される身体所見はどれか。2つ選べ。