問題番号 : 119E47

本問は,119E47~48の連問の一部です。

75歳の女性。呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。
現病歴:8年前に認知症と診断され,現在は直前の出来事も記憶していない。1週間前から咳嗽が増加し,市販の咳止めを内服したが改善しなかった。昨夜から呼吸困難が強くなり,喘鳴が家族にも聴取できるようになった。かかりつけ医に処方されていた吸入薬を使用したが今朝になっても改善しないため,家族が救急車を要請した。
既往歴:認知症のほかに,40歳時から気管支喘息で発作時の吸入薬を処方されている。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父が80歳時に脳梗塞で死亡。母が65歳時に胃癌で死亡。
現 症:ベッド上で仰臥位となっている。会話は可能だが見当識に関連する質問には回答できない。身長143cm,体重46kg。体温36.6℃。心拍数92/分,整。血圧146/68mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(マスク5L/分 酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。口腔内と咽頭とに異常を認めない。両側全肺野で呼気時にwheezesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。四肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ケトン体(-),潜血(-)。血液所見:赤血球452万,Hb 13.8g/dL,Ht 41%,白血球5,440(好中球43%,好酸球12%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球38%),血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL,アルブミン3.7g/dL,総ビリルビン0.5mg/dL,直接ビリルビン0.1mg/dL,AST 19U/L,ALT 10U/L,LD 230U/L(基準124~222),CK 40U/L(基準41~153),尿素窒素10mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,尿酸5.3mg/dL,血糖98mg/dL,Na 139mEq/L,K 4.2mEq/L,Cl 106mEq/L,Ca 8.9mg/dL,P 4.0mg/dL。CRP 0.4mg/dL。動脈血ガス分析(マスク5L/分 酸素投与下):pH 7.46,PaCO2 31Torr,PaO2 92Torr,HCO3 21mEq/L。心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。
この患者の前腕から静脈投与を行う。
静脈留置針の自己抜去を防ぐために行う対応で適切なのはどれか。

正解
e
国試正答率
89%

Assessment
①8年前に認知症と診断された。
②昨夜から呼吸困難が強く

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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