問題番号 : 119D71

75歳の女性。介護老人保健施設に入所中で,寝たきりの状態である。嘔吐と発熱を主訴に救急車で搬入された。昨日午後10時に嘔吐と38℃台の発熱が出現した。本日午前7時に,頻呼吸となったため,施設の職員が救急車を要請した。脳梗塞の既往があり左片麻痺を認める。意識は清明。身長143cm,体重38kg。体温38.4℃。心拍数108/分,整。血圧76/48mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。皮膚は湿潤。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。右肋骨脊柱角叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+,糖(-),ケトン体(-),潜血2+,沈渣に白血球多数/HPFを認める。血液所見:赤血球368万,Hb 12.4g/dL,Ht 40%,白血球12,800,血小板20万。血液生化学所見:総蛋白7.8g/dL,アルブミン3.8g/dL,CK 322U/L(基準41~153),尿素窒素20 mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,血糖182mg/dL, Na 131mEq/L,K 4.8mEq/L,Cl 96 mEq/L。CRP 15mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.49,PaCO2 29Torr,PaO2 84 Torr,HCO3 21mEq/L。腹部単純CTを下に示す。
 輸液と昇圧薬投与を開始した。次に行うべき治療はどれか。2つ選べ

正解
b, e
国試正答率
76%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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