問題番号 : 119D47

55歳の男性。胸痛と嘔吐を主訴に来院した。3日前から感冒様症状があり市販の総合感冒薬で様子を見ていたが,発熱と倦怠感が改善しなかった。本日午前中に15分程度の胸痛があり,その後2回嘔吐したため受診した。意識は清明。体温37.6℃。脈拍96/分,整。血圧106/58mmHg。呼吸数18/分。SpO2 94%(room air)。咽頭に軽度の発赤を認める。頸静脈の怒張を認める。心音に異常は認めない。呼吸音はcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。下腿に浮腫を認める。血液所見:赤血球460万,Hb 13.3g/dL,Ht 42%,白血球12,800,血小板21万。血液生化学所見:AST 35U/L,ALT 35U/L,LD 286U/L(基準124~222),CK 488U/L(基準59~248),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,血糖86mg/dL,BNP 1,289pg/mL(基準18.4以下)。免疫血清学所見:CRP 2.3mg/dL。心筋トロポニンT迅速検査陽性。12誘導心電図(A)と胸部エックス線写真(B)とを下に示す。
 この患者の診断に必要性が低い検査はどれか。

正解
e
国試正答率
77%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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