本問は,119C65~67の連問の一部です。
30歳の男性。左前胸部痛と呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴:格闘技の選手。試合中に左前胸部を蹴られ,試合会場近くの病院を受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:一人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父が大腸癌。
現 症:来院時,意識は清明。身長180cm,体重98kg。体温36.4℃。脈拍96/分,整。血圧102/72mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に異常を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。左前胸部に痛みを訴え,皮下出血を認める。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。神経診察で異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球489万,Hb 14.2g/dL,Ht 44%,白血球11,200。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL,アルブミン4.2g/dL,AST 36U/L,ALT 32U/L,LD 338U/L(基準124~222),尿素窒素10mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,Na 139mEq/L,K 4.2mEq/L,Cl 103mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.43,PaCO2 43Torr,PaO2 84Torr,HCO3- 28mEq/L。胸部単純CTを下に示す。
その後総合病院へ搬入された。搬入後の状態は意識清明で,体温36.4℃,脈拍132/分,整,血圧92/52mmHg,呼吸数30/分,SpO2 92%(room air)であった。酸素5L/分をマスクで投与し静脈路を確保して輸液を開始した。初回のCTから2時間後の搬送先の病院での胸部造影CTの肺野条件(A)と縦隔条件(B)とを下に示す。
搬送先の病院での胸部CTでみられる所見はどれか。