問題番号 : 119C62

本問は,119C62~64の連問の一部です。

58歳の男性。発熱と意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:昨日38.0℃の発熱があったため仕事を休み,市販の解熱鎮痛薬を内服して自宅で様子をみていた。今朝はベッドで横になったままで呼びかけに反応がなかったため,家族が救急車を要請した。
既往歴:21歳時に交通外傷のため左腎臓と脾臓を摘出した。
生活歴:会社員で事務作業が主体。喫煙歴はない。飲酒はビール350mL/日を週2回。52歳の妻,20歳台の息子2人と4人暮らし。ペットは飼育していない。ワクチン接種歴は確認できない。
家族歴:父は78歳時に心筋梗塞で死亡。同居している家族に特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCSⅢ-200。身長170cm,体重62kg。体温38.8℃。心拍数128/分,整。血圧76/52mmHg。呼吸数30/分。SpO2 91%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。皮膚は湿潤で著明な発汗を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めず,頭頸部にはその他の異常も認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝を触知しない。左側腹部に手術痕を認める。両側足趾に暗紫色の色調変化を認める。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球490万,Hb 13.2g/dL,Ht 39%,白血球2,000(骨髄球5%,後骨髄球13%,桿状核好中球38%,分葉核好中球41%,好酸球0%,好塩基球0%,単球1%,リンパ球2%),血小板6.2万,PT-INR 1.4(基準0.9~1.1),フィブリノゲン426mg/dL(基準186~355),Dダイマー30μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL,アルブミン2.8g/dL,総ビリルビン2.7mg/dL,直接ビリルビン1.8mg/dL,AST 197U/L,ALT 149U/L,LD 351U/L(基準124~222),ALP 109U/L(基準38~113),γ-GT 60U/L(基準13~64),アミラーゼ44 U/L(基準44~132),CK 460U/L(基準59~248),尿素窒素40mg/dL,クレアチニン2.1mg/dL,血糖98mg/dL,Na 130mEq/L,K 3.4mEq/L,Cl 101mEq/L,Ca 7.5mg/dL,乳酸28 mg/dL(基準5~20)。CRP 30mg/dL。動脈血ガス分析(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下):pH 7.33,PaCO2 28Torr,PaO2 84Torr,HCO3 18mEq/L。
血液培養採取と同時に静脈路を確保し,輸液と抗菌薬投与を開始したが,血圧が低下した状態が続いている。
次に投与すべきなのはどれか。

正解
c
国試正答率
98%

Assessment
①58歳の男性,発熱と意識障害で搬入 ⇒ 感染症とすれば

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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