本問は,119C59~61の連問の一部です。
83歳の男性。意識消失を主訴に救急車で搬入された。
現病歴:15年前から高血圧症で治療中。約5年前から家族に難聴を指摘されている。3か月前から労作や安静に無関係の動悸を自覚するようになり,通院中の診療所で心室期外収縮を指摘された。本日,自宅で意識消失し倒れたことに家族が気付き,救急車を要請した。意識は数秒で回復した。家族によると,搬入時の様子はいつもと変わらないという。
既往歴:74歳時に早期胃癌に対して内視鏡治療を施行。
生活歴:喫煙は20歳から74歳まで20本/日。飲酒は焼酎のお湯割りを1合/日。長男夫婦,孫1人と4人暮らし。
家族歴:父親は72歳時に胃癌で死亡。母親は78歳時に心筋梗塞で死亡。
現 症:ベッドで臥位となっており,開眼している。難聴があるものの,大きな声で話しかけると,本日の日付や現在いる場所,自分の名前と年齢を正確に答え,医師が診察していることを理解している。身長172cm,体重59kg。体温35.6℃。心拍数56/分,整。血圧152/68mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。神経診察では指示に従って四肢を動かすことができ,明らかな麻痺は認めない。
診察中に患者は再び意識消失し,数秒後に回復した。意識消失時の心拍数は14/分,不整,血圧は90/56mmHg,呼吸数は16/分,心電図モニターの波形を下に示す。その後家族に詳細な病歴聴取をしたところ,今回のような数秒間の意識消失を5回以上認めていたことが明らかになった。
次に行うべき治療はどれか。