問題番号 : 119C36

73歳の男性。息切れの増強を主訴に来院した。喫煙は20歳から70歳まで20本/日であったが,3年前から息切れのため禁煙している。既往歴に特記すべきことはない。職業歴に工場や鉱山での勤務歴がある。意識は清明。身長162cm,体重52kg。体温36.4℃。脈拍76/分,整。血圧142/76mmHg。呼吸数20/分。SpO2(room air)は自立歩行で診察室入室直後は86%,安静座位で深呼吸後は89%。心音に異常を認めない。呼吸音は両側の背部でfine cracklesを聴取する。呼吸機能検査:%VC 88%,FEV1% 67%,%DLco 70%。鼻カニューラ2L/分酸素投与下での6分間歩行試験でSpO2は90%以上を維持していた。簡易睡眠無呼吸検査の結果,軽度の睡眠時無呼吸が明らかとなった。心エコー検査で中等度の肺高血圧を認める。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを下に示す。胸部CTで明らかな肺癌の合併を認めない。
 この患者に対する在宅酸素療法で期待される効果はどれか。

正解
d
国試正答率
92%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る