問題番号 : 119B30

80歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。家族によると,1週間前に左大腿に痛みを訴え,市販の痛み止めの内服と湿布薬貼布で様子をみていた。2日前の夜に39.0℃の発熱を認め,昨日悪寒が出現した。本日,呼吸が荒くなり,意識がもうろうとしてきたため家族が救急車を要請した。来院時,意識レベルはJCSⅡ-30。不穏状態である。身長148cm,体重58kg。体温39.0℃。心拍数144/分,整。血圧70/40mmHg。呼吸数40/分。SpO2 94%(フェイスマスク6L/分 酸素投与下)。左大腿部が腫脹し,皮膚表面は硬く暗赤色である。血液所見:赤血球375万,Hb 11.8g/dL,Ht 35%,白血球3,000,血小板7.7万,PT-INR 1.3(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dL,アルブミン1.9g/dL,AST 47U/L,ALT 62U/L,LD 253U/L(基準124~222),CK 58U/L(基準41~153),尿素窒素32mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,Na 130mEq/L,K 3.9mEq/L。CRP 28mg/dL。動脈血ガス分析(フェイスマスク6L/分 酸素投与下):pH 7.51,PaCO2 18Torr,PaO2 80Torr,HCO3 15mEq/L。心電図は洞調律。胸部エックス線写真に異常を認めない。大腿部単純CTを下に示す。
 初期対応で適切でないのはどれか。

正解
c
国試正答率
85%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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