問題番号 : 119B28

78歳の男性。安静時の強い呼吸困難のため,家族とともに救急外来を受診した。呼吸困難のため本人からは病歴の情報を十分に得ることができない。家族によると,昨日から体動時の呼吸困難を訴えていた。慢性閉塞性肺疾患のため5年前から自宅近くの診療所で在宅酸素療法(1L/分)が導入され,来院時は,1L/分の酸素を吸入している。意識は清明。体温36.8℃。脈拍96/分,整。血圧130/80mmHg。呼吸数28/分。SpO2 87%(鼻カニューラ1L/分 酸素投与下)。体格はやせ型。吸気時に肥大した胸鎖乳突筋が特に目立ち,口すぼめ呼吸をし,喘鳴が著明である。動脈血ガス分析(鼻カニューラ1L/分 酸素投与下):pH 7.35,PaCO2 55Torr,PaO2 50Torr,HCO3 30mEq/L。
 初期対応で適切な酸素投与方法はどれか。

正解
d
国試正答率
95%

Assessment
①安静時の強い呼吸困難 ⇒ 呼吸不全
②慢性閉塞性肺疾患

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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