問題番号 : 119A74

40歳の女性。強い呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。2か月前から浮腫,2週間前から労作時の息切れを自覚し,2日前から夜間の起座呼吸を認めるようになったため家族が救急車を要請した。既往歴や家族歴に特記すべきことはない。数年前から健康診断を受診していない。心拍数92/分,整。血圧100/68mmHg。頸静脈の怒張を認める。心尖拍動が左方に偏位し,その部位にⅢ音と汎収縮期雑音とを聴取する。胸部にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に肝を2cm触知し,両側下腿前面に浮腫を認める。血液所見:赤血球385万,Hb 12.1g/dL,白血球4,600。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,総ビリルビン1.4mg/dL,AST 48U/L,ALT 56U/L,CK 28U/L(基準41~153),クレアチニン0.8mg/dL,BNP 880pg/mL(基準18.4以下)。胸部エックス線写真を下に示す。心エコー検査では左室拡張末期径68mm,左室駆出率28%,心内短絡は認めない。
 この患者でみられる血行動態の所見はどれか。2つ選べ

正解
a, b
国試正答率
66%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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