問題番号 : 119A72

64歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。3年前から労作時の呼吸困難が出現し自宅近くの診療所から吸入抗コリン薬を処方されている。1か月前から呼吸困難が増強したため紹介受診した。吸入薬は医師の指示どおり吸入できている。職業は60歳まで公務員で以後は無職。喫煙は20歳から61歳まで20本/日。身長168cm,体重41kg。体温36.2℃。脈拍68/分,整。血圧146/78mmHg。呼吸数20/分。SpO2 94%(room air)。6分間歩行試験でSpO2の最低値は92%(room air)であった。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫大を認めない。気管の短縮を認める。心音に異常を認めない。両側胸部で呼吸音の減弱を認める。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球524万,Hb 15.6g/dL,白血球7,800(桿状核好中球10%,分葉核好中球50%,好酸球1%,単球9%,リンパ球30%),血小板21万。血液生化学所見に異常を認めない。CRP 0.1mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41,PaCO2 42Torr,PaO2 88Torr,HCO3 24mEq/L。呼吸機能検査:%VC 85%,FEV1% 50%。胸部エックス線写真で両側横隔膜の平底化および両肺の過膨張を認める。
 適切な対応はどれか。2つ選べ

正解
c, e
国試正答率
86%

Assessment
①3年前から労作時呼吸困難が出現
②吸入抗コリン薬を処方

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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