問題番号 : 119A70

56歳の女性。労作時の息切れを主訴に来院した。6か月前に右下肢に浮腫を自覚したがそのままにしていた。2か月前から両下肢に浮腫が出現し,1週間前から,労作時の息切れが増強したため受診した。意識は清明。体温36.7℃。脈拍80/分,整。血圧146/92mmHg。呼吸数30/分。SpO2 95%(room air)。座位で頸静脈の怒張を下顎付近まで認める。心音はⅠ音は正常,Ⅱ音肺動脈成分の亢進,胸骨左縁第3肋間にLevine 2/6の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾は触知しない。両下肢に圧痕性浮腫を認める。血液所見:赤血球504万,Hb 15.1g/dL,Ht 46%,血小板13万,PT-INR 1.2(基準0.9~1.1),Dダイマー10.3μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:アルブミン4.1g/dL,総ビリルビン1.9mg/dL,AST 31U/L,ALT 11U/L,尿素窒素10mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,BNP 98pg/mL(基準18.4以下)。CRP 1.0mg/dL。心電図(A)と胸部エックス線写真(B)とを下に示す。心エコー検査で,左室駆出率は68%,三尖弁閉鎖不全を認め,推定肺動脈収縮期圧は60mmHgであった。
 診断のために行う検査はどれか。2つ選べ

正解
a, e
国試正答率
66%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る