問題番号 : 119A37

67歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。1週間前から労作時の息切れ,右頸部から顔面の腫脹が出現したため自宅近くの診療所を受診した。胸部エックス線写真で右肺野に異常陰影を指摘されたため紹介受診した。胸痛や腹痛はない。意識は清明。身長168cm,体重69kg。体温36.5℃。脈拍84/分,整。血圧138/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。頸静脈の怒張を認める。両側鎖骨上窩に径1~2cmのリンパ節を複数触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。血液所見に異常を認めない。血液生化学所見で,腎機能と肝機能に異常を認めない。ProGRP 124pg/mL(基準81以下)。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを下に示す。FDG-PETを施行し,右縦隔・肺門リンパ節と一塊となった腫瘤,多発肺転移および多発肝転移を認めた。気管支鏡検査を施行し腫瘤からの穿刺細胞診で小細胞肺癌と診断された。
 今後の対応で次に行うべきなのはどれか。

正解
b
国試正答率
54%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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